身長・リーチで見た場合、井上尚弥がどこまで通用するのか考察します。
体格で見る階級の壁
過去の記事でまとめてきましたが、1階級上がるだけで身長・リーチは1㎝以上変わってきます。
だからこそ、複数階級制覇というのは大変なことな訳です。
早速井上尚弥とバンタム~Sフェザー級までの体格の対比に入ります。
井上尚弥との対比表
Sバンタム級での井上尚弥
バンタム級時代は平均身長より低いものの、リーチは平均と比較して井上が有利でした。
しかし、Sバンタム級の時点ですでにリーチ差もなくなり、かなりの体格差が出ています。
別の記事にまとめますが、ある階級を境に急激に体格に変化が出るポイントが複数あり、
その中の1つがバンタム ⇒ Sバンタムでのリーチ差です。
要因としては、アジア圏の選手層が薄くなり・欧米圏の選手層が厚くなるためです。
ではSバンタム級で通用していないかと言うと、4団体統一という結果が物語っています。
3㎝程度の身長・リーチ差くらいは井上尚弥にとっては関係ないのでしょうか?
Sバンタム転級後の4試合の対戦相手の身長・リーチです。
スティーブン・フルトン 169㎝/179㎝
マーロン・タパレス 163㎝/165㎝
ルイス・ネリ 165㎝/169㎝
T J ドヘニー 166㎝/173㎝
実はフルトン以外は同じくらいの体格の選手との試合でした。
フルトンやサム・グッドマンなどが170㎝近く、そして日本の下町が180㎝近くあるため、Sバンタム級の平均身長が高くなっています。
実際のSバンタム級のトップ選手達は身長160㎝半ば、リーチ170㎝前後のため、井上尚弥の体格が「並」になったというのが正しい表現になります。
フェザー級での井上尚弥
続いてフェザー級ではどうでしょうか。
バンタム~Sフェザー級までの身長・リーチ推移グラフ
身長では5㎝、リーチでも3.5㎝の差があります。
Sバンタム級での例もあるので、フェザー級のトップ選手達の身長・リーチを確認します。
ニック・ボール 157㎝/165㎝
ルイス・アルベルト・ロペス 163㎝/169㎝
ロベイシー・ラミレス 168㎝/173㎝
レイ・バルガス 172㎝/179㎝
ブルース・カーリントン 173㎝/183㎝
ブランドン・フィゲロア 175㎝/184㎝
ラファエル・エスピノサ 185㎝/188㎝
最小最大ともに規格外の体格となっていますが、トップ選手は身長170㎝前後・リーチ170㎝半ばになります。
Sバンタム級からもう1段体格が大きくなるイメージです。
ファイトスタイルなどすべて除外して、井上尚弥との体格差だけで考慮すると身長・リーチ差が10㎝発生するため苦戦、もしくは通用しない可能性もあります。
階級の壁にぶつかるのが、このフェザー級になりそうです。
オフェンス面ではパワーがどこまで通用するか分かりませんが、圧倒的なスピードとフットワークで翻弄出来ると思います。
が、フェザー級からディフェンス面で苦労するのではないかと予想しています。
体でロープ際に押し込まれる、ガードの上からでも効かされるのではないか…という予想です。
今もパンチをもらいませんが、今まで以上にガードより動きでパンチをかわしていく戦い方にする気がしています。
とはいえ、ラミレス・フィゲロア以外はスピードで圧倒すると思いますので、フェザー級までの体格であれば通用する、と考えています。
スーパーフェザー級での井上尚弥
最後にSフェザー級ではどうでしょうか。
身長では6.5㎝、リーチでも4㎝の差があります。
Sフェザー級のトップ選手達の身長・リーチを確認します。
マーク・マグサヨ 169㎝/171㎝
リー・ウッド 170㎝/170㎝
ラモン・ローチ 170㎝/173㎝
エマヌエル・ナバレッテ 170㎝/183㎝
力石政法 178㎝
アンソニー・カケース 178㎝
ロブソン・コンセイサオ 179㎝/178㎝
ぱっと見はフェザー級とそれほど変わらない身長・リーチとなります。
しかし、大きな違いは身長が小さくても170㎝あるという点です。
フェザー級でどこまで通用するか見てみないと分かりませんが、体格だけで考えると対戦相手によってはSフェザー級でもチャンピオンになる可能性はあります。
しかし、Sフェザー級に上がる頃には年齢の問題でスピードが落ちるため、現実的に厳しい・通用しないと言わざるを得ません。
まとめ
井上尚弥の体格的にはバンタム・Sバンタム級が適正階級だと言えます。
それまでのLフライ・Sフライ級時代は体格も大きく・スピード・パワーがあった訳なので、傑出度で考えると無双していたのも納得できます。
中量級へ踏み入れることになるフェザー級では、階級の壁を感じるのではないかと思います。
どういう戦い方をするのか・通用するのかが非常に楽しみです。